白い生き物を飼ってはいけないタブー? – 別府神社(東京都日野市万願寺)

東京都日野市、新川崎街道沿いにある別府神社(べっぷじんじゃ)。
江戸時代の地誌『新編武蔵風土記稿』に載る、当地(かつての宮村)の守り神です。

別府温泉と何か関係が?と思うかもしれませんが、関係ありません笑

祀られている神様が、別府神(べっぷのかみ)という神様でそこからきた社名です。

小さいですが、木造の社殿は雰囲気があり、立派な社額が掛けられています。

社殿の前には、松の巨木。高くて画面に収まらないので、境内の外から撮りました。

お決まりの狛犬。

さてこの別府神ですが、別府太郎(べっぷたろう)という人物を神様として祀ったものと言い伝えられています。

確かな由来はわかりませんが、別府太郎の言い伝えが2つあります。

別府太郎の伝説

土地争いで村を勝訴に導いた領主・別府太郎

その昔、神社がある辺りは宮村といったのですが、となりの上田村と土地争いがあった時に、領主の別府太郎という人が身を持ってあたり、ついに勝訴することができたので、里人はその霊を祀って社を建てたと。

分倍河原の戦いで戦死した武将・別府太郎

もう一つが、別府太郎が鎌倉時代の武将だったという伝説です。

鎌倉時代後期、元弘3年(1333)に「分倍河原(ぶばいがわら)の戦い」という合戦が、当社からそう遠くない多摩川河畔の分倍河原(ぶばいがわら・現在の東京都府中市)でありました。

鎌倉幕府滅亡までの一連の争乱「元弘(げんこう)の乱」の一戦で、鎌倉幕府軍と新田義貞が指揮する反幕府軍が交戦。

一時は新田軍を劣勢に追い込んだ幕府軍でしたが、虚をつかれ壊滅的打撃を受けます。この戦いで決定的な勝利を得た新田軍は、幕府軍を完全に守勢に転じさせました。

言い伝えでは、別府太郎という武将がこの一戦に加わっていましたが、敵に追われてこのあたりに落ち延びてきたと。そこで、乗っていた白馬ごと深田に落ちて果ててしまいました。

その後、里長の夢枕に別府太郎が現れ、「我が霊を祀らばこの地を守らん」とお告げがあったので、社を建ててこれを祀ったといいます。

胸刺国造・伊狭知直を祀る?

これは『日野市「別府神社」 – 多摩の神社準備室』さんの記事にあったのですが、一説には伊狭知直(いさちのあたい)を祀るともいわれているそうです。

ややこしいですが、伊狭知直は人の名前です。今で言う都知事みたいな人です。

古代、東京・埼玉・神奈川県東部は武蔵国(むさしのくに)という行政区分だったのですが、6世紀以前はさらに3つ…无邪志国(むさしのくに)、胸刺国(むさしのくに)、知々夫国(ちちぶのくに)に分かれていた、といわれています。

その胸刺国の長が胸刺国造(むさしのくにのみやつこ)で、伊狭知直は初代・胸刺国造です。

白い生き物は飼ってはいけないタブー

以上のような伝説が残る別府神社ですが、鎌倉時代武将説から、村の人は別府太郎が乗っていた馬が白馬だったことから、白い生き物を飼ってはいけないというタブーがあったそうです。例え農耕馬でも、芦毛(灰色の毛)の馬は使わなかったとか。

別府太郎なる謎の人物といい、興味深いですね。

案内もない道端の小さな神社ですが、境内は雰囲気があって良きでした。

別府神社の概要

祭神 別府神(べっぷのかみ)
境内社 三社宮
主な神事 9月第3土曜・日曜日
御朱印 なし
社務所 なし
住所 〒191-0024 日野市万願寺3-47-1
駐車場 なし(少し離れた反対車線にファミリーマートがあります)
アクセス 多摩都市モノレール「甲州街道駅」より徒歩10分